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応援されるブランド【第1弾】尾﨑産業株式会社②

応援されるブランド

【後編】ネット販売で雨合羽ブランドの価値を高める

 

現会長(三代目)から2011年に舵取りを任された四代目社長の尾﨑昌司氏。

 

尾﨑社長が家業を継ぐきっかけになったのは「人の役に立つ仕事をしたい」という思いでした。

 

その原体験は大学院生の頃にまで遡ります。

当時、自然気胸で入院した時、たまたまTVに映っていた台風による被災地の被害状況に衝撃を受け、退院後にボランティアへ参加し、そのような思いが芽生えたそうです。

 

大学院を卒業した後は大手メーカーに就職し、半導体の回路設計という専門職に従事していたものの、大企業がゆえのお客様の顔が見えにくい仕事に疑問を感じ、2008年に転職を決意。

 

 

入社後は会社全体の仕事を理解するため、一社員として合羽生地の裁断からミシンでの縫製など様々な実務を経験。事業全体の流れを一通り知った時、尾﨑社長を悩ませたのは「この会社で自分の強みをどのようにして活かしていけるのか」というものでした。

 

 

父(三代目)のようなゼロからイチを生み出す発想力は自分にはなく、会社に役立つ自らの強みを模索する苦しい時期だったと言います。

 

その中で見出したのがインターネットを駆使したブランディングでした。

 

元々は理系の大学を出て、半導体の回路設計をしていた尾﨑社長。当然のことながらデジタル分野に関しての造詣が深く、この部分を自社に取り入れることで、さらに自社ブランドを成長させていくことが自分の役割だと気付かれたのです。

 

そんな尾﨑社長からは、雨合羽ブランドをどのように成長させてきたのかを伺いました。

 

※【前編・全国から支持される雨合羽ブランドの誕生秘話】をご覧になられていない方はこちらから。

 

 

 

1. 販売を目的にしないネット戦略


 

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社長に就任されてからデジタル化を推進されたのでしょうか?

 

【尾﨑社長】はい。就任後、独学でホームページをつくり、EC機能を付けてB2Cでのネット販売をはじめました。

 

ホームページは販売が目的ではなく、尾﨑産業のことを深く知ってもらい、ファンになってもらうことを念頭に作成しました。

そのため、HPの構成も自分たちが大切にしている考え方や品質へのこだわり、SDGsへの取組みなどを詳しくお伝えしています。

 

 

 

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ネット販売が目的ではないのですね

 

【尾﨑社長】そうです。弊社の合羽は主に問屋さんに卸していることもあり、ホームページでの販売価格は問屋さんが付けている上代以上に設定しています。

 

理由はこれまで良いお付き合いをさせていただいている問屋さんにご迷惑をお掛けしないためです。

 

ただ、価格が他のサイトより高いのにも関わらず、私たちから直接ご購入いただいた方には、少しでも寄り添えるような対応を心がけています。

 

 

 

 

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たとえばどういった対応ですか?

 

【尾﨑社長】ご購入いただいたお客様をイメージしながら書いた手紙を毎回同封するようにしています。

あとは補修布ですね。これはお客様にすごく喜ばれています。

 

 

 

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ちなみに補修布って何ですか?

 

 

【尾﨑社長】実は、補修布はお客様の声から発想したアイデアなんです。

 

弊社の合羽はプロ仕様なので耐久性は抜群ですが、お客様様が使われる環境も非常にハードなため「一部分だけ穴が開いたので、新しい合羽を購入したい」というようなお声をいただくことがよくありました。

 

商売的には新しい合羽を購入いただいた方がいいのですが、うちの合羽は決して安いものではないので何か対応できるのであれば…と考えて、専用接着剤付のリペアセット(補修布)を商品と一緒に送るようにしたんです。

 

 

これだとまだ着られる合羽を捨てずにすみますし、補修布は端材を利用しているのでゴミも少なくなり、環境問題も考えるとWIN WINだなと。

何よりお客様に喜んでいただけるのが一番嬉しいですね。

 

 

 

2. ネットは顧客からの生のお声を聴く場


 

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ネット販売をはじめるとそのような声から発想できるのですね。

 

 

【尾﨑社長】実はネット販売をはじめたのには、実際に合羽を使ってくださっているお客様から直接ご意見をいただきいという目的もありました。

 

それまでは、作った合羽を問屋さんにだけ卸していたため、エンドユーザーさんからの直接的なフィードバックがいただけない状態でした。

 

もちろん問屋さんを経由してご意見はいただくこともありましたが、細かな部分まで拾いきれていない気がしていたんです。

 

 

 

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それを実感されたエピソードなどはありましたか?

 

 

【尾﨑社長】たとえば、「マリンレリー」の胸についているワッペンは元々金具で固定していたのですが、自社サイトからご購入いただいた複数のお客様から「ワッペンが外れて困っている」というご意見を写真付きでいただきました。

 

おそらく、ワッペンは合羽の基本機能と関係がないため、そんな細かな意見まで問屋さんに上がってこなかったのだと思います。

 

 

 

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確かに。細かな部分はクレームで上がらない反面、見逃すとブランドスイッチにつながりますよね。

 

 

【尾﨑社長】その通りです。そしてネット販売のもう一つの目的は、自社の合羽を使ってくださっているお客様と直接つながりたかったことです。

 

前職は仕事に対してのやり甲斐は感じていましたが、お客様の顔が見えないという部分に引っかかりがありました。

 

せっかく家業を継いだのだから、父(三代目)が開発した合羽がどれほど喜ばれているのかを肌で感じてみたかったんです。

 

 

 

 

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そう考えると、ネットでの販売は“お客様からの生の声を聴ける”貴重な機会になっているということですね。

 

 

【尾﨑社長】はい。どこまで本音を言ってくださるか分かりませんが、できるだけご意見を言ってもらいやすいようにしています。

 

たとえば、お手紙だけでなくブログやSNSでも「何かありましたら私までご連絡ください。100%回答します」ということを繰り返しお伝えしています。

 

大事なことは何度も言わないと伝わらないですから。その積み重ねの成果か分かりませんが、お客様から「こういう商品を作って欲しい」というアイデアやご要望をいただくことが多くなりました。

 

 

 

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お客様とのやり取りで、心に残っているエピソードを教えていただいてもよろしいでしょうか。

 

 

【尾﨑社長】沢山ありすぎて困るのですが、たとえば最近の話でいうと価格改定のお知らせをした際のエピソードがあります。

 

価格改定など、お客様に不利益になる時にはできるだけ正直にお話するようにしていて、「価格だけでいうと他社サイトで購入される方がお安いですよ」とお伝えしました。

 

 

すると「尾﨑さんだから買うんだよ」と言ってくださり、価格以上の何かを感じてくださっているのだなあ、と心にくるものがありました。

 

あとは、商品の発送をお知らせするメールに対して、「ちゃんと届きました」「大切に使わせていただきます」というような返信をよくいただきます。

 

その辺りも本当に嬉しいですし、有り難いなあと思っています。

 

 

 

3. ブランディングで心がけていること


 

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尾﨑社長がブランディングで心がけていることは何ですか?

 

 

【尾﨑社長】できるだけこちらから感謝の気持ちをお伝えすることですね。

 

たとえば、TVを見ていて自社の合羽を使ってくださっている方を見かければ、SNSなどでお礼のメッセージを送るようにしています。

 

 

ちなみに黄ニラ大使の植田輝義さんや深海魚専門ハンターとして知られている長谷川久志さんとは、そのようなメッセージからつながり、今も仲良くさせてもらっています。

 

正直のことを言うと、たった20人くらいの規模で作っている私たちの合羽が、これほどまで全国の皆さまに使われ、感謝されていることは入社するまで知りませんでした。

 

これは自社でネット販売をはじめたことや、SNSなどを通じて感謝の気持ちをお伝えしてきたことで分かったことであり、改めて父(三代目)の開発力のすごさを知ることができました。

 

また、ご愛用くださっているエンドユーザーさんの声を社内で共有することにより、従業員のモチベーションアップにもつながっています。

 

 

 

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社内へのブランディングにも活用されているのですね。

あと、お客様から応援されているなあと感じたことはありますか?

 

 

【尾﨑社長】そうですね。たとえば、SNSで知り合いになった漁師さんから、「夏に着られるショートパンツを作りたい」というアイデアをいただきました。

 

そのような声がけいただくのは、「尾﨑産業だからできる」と応援いただいているからだと思います。

 

 

また、別の方からは「合羽の背中に尾﨑産業のロゴを大きく入れたい」というご依頼をいただきました。理由をお伺いすると「尾﨑産業を応援したいんだ」と。

 

お客様が費用を掛けてまで弊社を応援してくれるって、もう本当に幸せですよね。

 

 

 

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では、最後に今後のブランドの展望をお聞かせください。

 

 

【尾﨑社長】父(三代目)はゼロからイチを発想するのが得意ですが、私はイチを改良してブランドを成長させる方が向いています。

 

最近は北海道や長野など遠方からも「こんな合羽ありますか」というお問い合わせや合羽以外の相談も来るようになりました。

 

先日も関東の大手鉄道会社さんから直接ご依頼をいただきました。

 

 

今後は合羽だけでなく、自社の技術を応用して「防水」という大きなくくりで何かイノベーションを起こせるような商品開発ができないか考えています。

 

これもお客様とコラボしたりして、一緒に創っていけると嬉しいですね。

 

そのためにも皆様から現場での困り事を教えていただき、解決できる製品作りに挑戦していきたいと思います。

 

 

 


AID DESIGNの視点


 

取材をして感じたのは、尾﨑会長の発想力とひらめきの凄さ。世に名前こそは出ていませんが、数々のヒット商品のサポートもされてきたそうです。

 

一方、尾﨑社長の凄みは顧客への寄り添い力。

一人ひとりの顧客としっかり向き合うことで圧倒的な信頼を勝ち取り、お客様からのフィードバックやアイデアを基に改良を続けています。

 

 

ブランドには「つくる」と「育てる」という二つのフェーズがあります。

 

天才的なひらめきでブランドを創った先代と、そのバトンを受け取りブランドを育てている尾﨑社長。

 

一見、「つくる」フェーズの方が難易度が高く見えますが、実は「育てる」フェーズにおいても同じ程度の難しさがあります。なぜなら、時代はどんどん進化しているため、受け取ったブランドを維持しているだけでは育てることにはならないからです。

 

育てるためには、機能だけでなくコミュニケーションも含めた適切な改良を加えて、ブランド価値をさらに高めていくこと。

 

そして「育てる」段階には周りから応援される力が必要になります。

 

なぜなら、ブランドを持続的に成長させるためには、顧客からのフィードバックやアイデアの共有が欠かせないです。これが顧客と共につくりあげる共創価値です。

 

ブランドは顧客の応援と共に成長していく。

 

尾﨑産業はまさにそれを実践し続けているブランドではないでしょうか。

 

 

※尾﨑産業株式会社さまのHPはこちらから。

 

 


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