駆け抜けるのは喜びだけではない
こんにちは。
ブランディングの力で経営課題を解決する社外ブランド・マネージャー、エイドデザインの渡部(わたなべ)です。
今日から冒頭の言葉を変えました。
これまでご依頼をいただいたプロジェクトに関しては、その会社のブランド・マネージャーになったつもりで取り組んできたので、このセルフイメージがかなりしっくりきています。
中小企業でブランド・マネージャーが在籍する会社は多くありません。感覚的には1%以下でしょうか。
たいていは経営者やそれに準ずる経営幹部がブランドマネージャーを兼務で担っていたりします。
そんな中小企業に社外からブランド・マネージャーとして関わり、あらゆる経営課題(販売促進、利益率アップ、新規事業立ち上げ、人材採用、事業承継など)をブランディングの力で解決していくという覚悟を言葉で表しました。
さて、今日はブランド・アイデンティティについてのお話です。
結構、重要な内容なのでぜひ最後までお読みいただければと思います。
1.定期点検の代車はあの車
2年ほど前からブランド調査も兼ねてMINIに乗っています。
先日、担当営業さんから定期点検の連絡をいただき、メールでやり取りして入庫日を決めました。
それから数日経ったある日、
「当日はMINIがすべて出払っており、それ(MINI)以外での代車をご用意させていただきます」
との電話が入りました。
ちなみにこれまでの点検では代車はすべてMINI。
営業さんが申し訳なさそうに伝えてきたので古い車なのかなあと思いきや、用意されていたのはなんとBMWのZ4でした。
そういえば、MINIはBMWの傘下なので同じ建物内にBMWディーラーがあるのを忘れてました。
2. ブランドへのマイナスの印象がプラスに変わる
実は私、申し訳ないことにBMWに少しマイナスのイメージを持っておりまして…。
常磐自動車道のあおり運転で運転手を殴った人の車がBMWだったので、その光景が未だに焼き付いていたのです。
そんなマイナスからのスタートでしたが、実際に乗ってみるとその印象がガラリと変わりました。
どう変わったのかというと、スポーティーなオープンカーを運転していると『駆け抜ける喜び』という気持ちが分かり、印象が少しプラスに傾いたのです。
ちなみに『駆け抜ける喜び』という言葉はBMWのブランド・アイデンティティであり、ことあるごとにBMWが訴求しているワードなのでご存じの方も多いと思います。
『駆け抜ける喜び』
もしこの言葉を知らなければ、「格好いいスポーツカーに乗ったなあ」というただの満足感で終わっていたでしょう。
また、ブランドの印象もそれほど強く残らなかったと思います。
しかし、実際に運転した時の感覚と、刷り込まれていたこの言葉がピタッと一致したことで、強い心象(ブランドイメージ)が心の中に刻まれたのです。
おそらく、私がBMWの価値を人に伝えるとき『駆け抜ける喜びを実感できる車』と言うと思います。
これこそBMWが顧客に思ってもらいたいイメージであり、イメージの伝達をコントロールできることがブランディングの凄さなのです。
つまり、喜びだけではなくブランドイメージも駆け抜けたのです。
3. 価値を伝えるには○○が必要
このようにブランド独自の価値を言語化したブランド・アイデンティティは、たった一度のブランド体験で消費者の心に大きなインパクトを与えることができます。
では、この言葉がなければどうなるのでしょうか?
いくら独自性のあるブランドだったとしても、すべての人に意図する印象を持ってもらうことはできません。
言葉なくしては不可能です。
さらにその印象は、人を介すれば介するほど伝言ゲームのようにズレていきます。
つまり、価値は【言葉】にしておかないと
正しく伝えることも、正しく伝わることもないということです。
付け加えて言えば、このブランド・アイデンティティは単に小ぎれいなだけの言葉では意味をなしません。
お客様がそのブランドに触れたとき、「ああ、確かにその通りだ」と心の底から実感する、ブランド独自の価値とリンクしたものでなくてはいけないのです。
あなたのブランドには、その価値を伝える言葉はありますか?
今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
〜追伸1〜
ちなみにMINIのブランド・アイデンティティは『世界に一つしかない。MINIの世界観』
その中に「ゴーカート・フィーリング」という要素があります。
遊園地にあるゴーカートをイメージしてもらうとすごく分かりやすいのですが、車体の動きに遊びがなくハンドリングが優れていることを表した言葉です。
しかし、裏を返せば遊びがない分、ダイレクトに挙動するのであまり乗り心地は考慮されていません。
ですので、まずはそれを価値に感じてくれる人を先に特定していないと、優れたブランド・アイデンティティは作れないのです。
この辺りがブランド戦略を策定する際、大きなポイントになってくるのでご注意ください。
(こちらのブログ『なぜ、ブランド戦略が必要なのか?』で詳しく説明しています)
〜追伸2〜
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