「悪貨は良貨を駆逐する」は本当か?
いつもありがとうございます。
ブランディングの力で経営課題を解決する社外ブランド・マネージャー、
エイドデザインの渡部(わたなべ)です。
今年もノーベル賞の発表が近づいていますね。
毎年、村上春樹さんが文学賞の候補に挙がりますが、いよいよ!なのでしょうか。
いずれにしても10月の発表が今から楽しみです。
さて、2001年は3人の経済学者が同時にノーベル賞を受賞したことで話題になりました。
その内の一人、カリフォルニア大学バークレー校のジョージ・アカロフ教授が1970年に発表した論文の中に「アカロフのレモン市場」という話があります。
半世紀以上も前の論文ですが、今でもよく使われているビジネスにおける本質にまつわる話。
「悪貨は良貨を駆逐する」というショッキングな内容ですが、自分事に置き換えてお読みいただければ嬉しいです。
1. 売り手にしか正確な価値が判断できない場合
「レモン市場」と言っても果物のレモンではありません。
ここでいうレモンとは、英語の俗称で中古車のことを指します。
定価のある新車とは異なり、中古車の正確な価値は買い手には分かりません。
仮に故障歴や事故歴があったとしても、中古車1台1台の本当の価値は売り手にしか判断がつかないのです。
もちろん買い手自身も正確な価値が分からないと自覚しているので、売り手側が本当の価値より高い売値を提示している可能性があることを知っています。
そう考えると、値引きを求めたり、他社と比較するのが自然な流れとなりますよね。
たとえば、Aディーラーが140万円の価値がある中古車を150万円で売りに出したとします。
しかし、買い手はその情報を鵜呑みにはしません。
おそらく同じ車種、同じ年型を販売しているディーラー何社かと比較するでしょう。
そこで虚偽の表示をするBディーラーが、100万円の価値しかない中古車を150万円で売りに出したとします。
・Aディーラー…140万円の価値がある中古車を150万円で販売
・ Bディーラー…100万円の価値がある中古車を150万円で販売
2. 買い手の疑心暗鬼が生み出す最悪のシナリオ
いずれも同じ車種、同じ年型で売価はともに150万円です。
ここで買い手が「120万円に値下げしてください」と交渉したとします。
Aディーラーは120万円だと赤字になるので売ることはできません。
一方、虚偽の表示をするBディーラーは本当の価値は100万円なので、30万円値引きをしても利益を確保することができます。
これが続くと、誠実な売り手が市場からいなくなり、虚偽の表示をする売り手だけが残りがちになります。
この現象を「アドバース・セレクション」というのですが、これは中古車業界だけでなく、どのような業界でも起こりうる問題ではないでしょうか?
特に定価がなくて、買い手側に価値判断できる情報がない商品やサービスだとこの現象は起こりやすくなります。
買い手の疑心暗鬼が誠実な売り手を少なくするだけでなく、質の悪い売り手をのさばらせ、その結果、自分達(買い手)の不利益につながっている…。
なんとも皮肉なことですが、悲しいかなこれがビジネスの本質であり、現実です。
3. 良貨を持って悪貨を駆逐するたった一つの方法
ただし、私はそれで良いとは1㎜も思っていません。
むしろ良貨を持って悪貨を駆逐するのが、エイドデザインの仕事だと考えています。
では、何を持って悪貨を駆逐するのか。
それこそがブランディングです。
悪貨によって良貨が駆逐されるのは、そもそも悪貨と同じ土俵で勝負していることが原因です。
質の悪い売り手は誠実な売り手が行っているステップを踏まないので、その分、悪だくみするために時間を割いています。
たとえば先の中古車業界だと、しっかりとエンジン周りを整備し、安全性を担保することに時間を割く売り手と、さも価値のあるような虚偽の発信に執着し、さらに値引きに応じる売り手。
(発信がよくないのではなく、虚偽の価値付けをしている部分が論点です)
本当の価値を判断する情報を持っていない買い手であれば、いずれの売り手から購入するかは言うまでもないでしょう。
悪貨に駆逐されないためには悪貨と同じ土俵に上がらない、また悪貨を自分の土俵に上がらせない、そんな仕組みを構築することが大切です。
それこそがエイドデザインが考えるブランド戦略であり、良貨を持って悪貨を駆逐できる唯一の方法なのです。
あなたは悪貨との違いを発信していますか?
〜追伸〜
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