ブランドスイッチされる危険な兆候
いつもありがとうございます。
ブランディングの力で経営課題を解決する社外ブランド・マネージャー、
エイドデザインの渡部(わたなべ)です。
実は先月より新しい企画を立ち上げました。
その名も“応援されるブランド”インタビューです。
地方にありながら応援されている中小企業ブランドを取材し、そのエッセンスを皆さまにお届けすることで“応援されるブランド”を増やすことを一つの目的としています。
記念すべき第1弾のブランドは、創業115年、全国から支持されるプロ用雨合羽ブランド「尾﨑産業株式会社」さんを取材してきました。
三代目の尾﨑 卓司会長からはプロ用雨合羽ブランドの誕生秘話を、そして四代目の尾﨑 昌司社長からはそのブランド価値をどのように高めてきたのかを伺っています。
今回の取材では、“応援されるブランド”になるための気付きがいくつかありましたので、今日はその中のひとつのエピソードをご紹介します。
1. ブランドスイッチされる危険な兆候
それは、尾﨑昌司社長がお客様からあるクレームを受けた時のことでした。
尾﨑産業さんではネット販売をおこなっているものの、その目的は売上を上げることではなく、自社のことを深く知ってもらい、ファンになってもらうためのものと定義して運営されています。
あるとき、ネット販売でつながった複数のお客様から「雨合羽の(胸部分に付けている)ワッペンが外れる」というご意見(クレーム)をいただいたそうです。
すぐに問屋さんに確認したところ、そんなご意見(クレーム)は受けたことがないということ。しかし、お客様からはワッペンが外れた写真も送られてきていたのです。
尾﨑社長はそこからすぐにワッペンが外れないような改良を加えられました。
これはどういうことなのかというと、おそらく合羽におけるワッペンは合羽の基本機能とは関係がないため、クレームとして上げにくかったのだと思うのです。
もちろん、すぐに外れるのであれば問題ですが、尾﨑産業の合羽はプロ用なのでそういうことはありません。
しかし、プロ用がゆえにその環境は過酷です。そのため、通常では考えられないような大きな負荷を何度も掛かてしまって外れてしまう。
過酷な環境で仕事をしていることを自覚しているお客様だからこそ、販売先へのクレームとしては上がってこなかったのです。
しかし、ワッペンが外れると格好が悪いので、次回購入するときには「ワッペンの外れない合羽はないかなあ」考えてしまいます。
これこそがブランドスイッチ(違うブランドへの乗り換え)される危険な兆候なのですが、普通のブランドでは中々その兆候をキャッチすることができません。
2. 焼肉屋さんにおける白ご飯の役割
たとえば、ある焼肉屋チェーン店でこのような出来事がありました。(私の経験談です)
そこのお肉はとても美味しかったのですが、白ご飯がとても残念なものだったのです。
おそらくコストを下げるために古米を使用されていたのでしょう。米が割れているため、食感はボソボソ…。
さらにお肉が美味しいことで、白ご飯の残念さが際立ちます。
結局、お肉自体は美味しいので、お店に対して意見(クレーム)を上げることはありませんでした。
しかし、それからそのお店には行っていません。
ここでブリッジング、自分事として考えてみてください。
雨合羽におけるワッペン、焼肉屋さんにおける白ご飯。いずれもブランドの基本的な機能とは関係のない部分です。
雨合羽であれば水に濡れないことや耐久性、焼肉屋さんであればお肉が基本的な機能だと思います。
しかし、その基本的な機能以外の部分でブランドスイッチされているのです。しかも、基本的な機能以外でのブランドスイッチがゆえに、その兆候をつかみ取ることが非常に困難です。
3. ブランドスイッチの兆候をつかみ取るには
では、このような兆候を見逃さないためにはどうすればいいのか?
その答えは、“応援されるブランド”になることです。
たとえば、私が先ほどの焼肉屋さんを応援している顧客だったとします。
あれほど残念なお米であれば、店主にこそっと教えてあげると思うのです。「こんなのを出していれば、いずれお客様が来なくなるよ」と。
そのお店を応援しているからこそ、あえて苦言を呈します。
店主もそのような顧客からの意見であれば素直に耳を傾け、すぐに改善をするはずです。
また改善をしてくれたことを知った私は、さらにそのお店のファンになって応援を続け、応援された店主はさらに顧客のことを想った仕事を心がけるでしょう。
これが “応援のスパイラルアップ(好循環)” です。
ただし、このような状態を作り出すためには、お客様と向き合い、寄り添った対応をすることが必要になります。
尾﨑社長はブログやSNSで「何かありましたら私までご連絡ください。100%回答します」ということを繰り返し伝えられているそうです。
今後、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況が続きます。
そんな中、応援されるブランドは、あらゆるステークスホルダー(利害関係者)との関係性が深いため、適切なフィードバックや顧客起点のアイデアをいち早くキャッチすることができます。
また、人は応援されると本来持っている力より大きな力を引き出すことができ、さらにブランドが万一苦境に立たされた時でも、応援者はかならず手を差し伸べてくれます。
人やお金などの経営資源が限られた中小企業だからこそ、小さくても“応援されるブランド”を目指すべきではないでしょうか?
今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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