ジャケ買いで終わる商品とリピート商品との決定的な違い
こんにちは。
夢を目標に変えるブランディングパートナー、エイドデザインの渡部(わたなべ)です。
昔から中身の曲を知らないのにジャケットのデザインだけを見てCDを買ったり、惹きつけられる装丁を見て本を買ったりしていました。
「ジャケ買い」と言うのでしょうか。たまに失敗するのですよね(汗)
ちなみに「ジャケ買い」とは、店頭などで見かけたデザインに好印象を受けて購入すること。
今は店頭よりネットで商品を購入することの方が多いので、もう「ジャケ買い」とは言わないのかな?
ジャケ買いをして「失敗した」と思う商品と、「また買いたい」とリピートする商品。
今日はここを分けている原因について、ブランディングの観点から考えてみました。
1.最近ビビッときてジャケ買いした商品
企業や店舗のブランディングのサポートを生業としているので、気になったブランドやパッケージの商品は必ず押さえるようにしています。
…で、最近ビビッと感じて購入したのが、HIOさんのクラフトアイスクリーム。
クラフトコーヒーやクラフトチョコは耳にすることがありますが、クラフトはアイスの世界にもあったのです。
(出典:HiO ICE CREAM)
こちらはパッケージというより、添付されていたリーフレットが秀逸でした。
通常、ギフトに添付しているリーフレットというと商品紹介だけをしているのですが、HIOさんのリーフレットはブランドストーリーや使っている原材料にフォーカスされています。
ブランドが大切にしている価値観や考え方が感じられ、すごく好感を憶えました。
次は鳥取門永さんのかにみそバーニャカウダ。
もう、ネーミングの時点でヨダレがジュルッとするくらい美味しそうですよね。
(出典:鳥取門永 公式オンラインショップ)
こちらは私がトレーナーとして所属する一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会のトレーナー仲間がデザインされた商品。
ブランドコンセプトの立案からパッケージデザイン、マーケティング戦略まで一気通貫でプロデュースされたみたいなので、一分の隙もない素晴らしい完成度でした。
パッケージデザインや味もさることながら、「売る」という所までしっかりと設計されています。
次は御菓子司・五條堂さんの鴻池花火(フルーツ大福)。
大福の断面がものすごいインパクトですよね。
(出典:五條堂ーGOJODOー)
五條堂さんギフトには、大福のカタチに切り抜いたミニリーフレットやブランドの紹介カードなどを添付されていて、必要最小限のコストでブランドの世界観を最大に表現されています。
正直、パッケージはコストさえ掛ければいくらでも良いモノはできるので、限られたリソースで工夫している点が秀逸でした。
もちろんフルーツ大福も激烈に美味しかったです。
パッケージが気になる方はそれぞれのURLを掲載しているので、ぜひ購入してみてください。
※HIOアイスクリームの公式サイトはこちらから。
※鳥取門永さんの公式サイトはこちらから。
※御菓子司・五條堂さんの公式サイトはこちらから。
2.残念な商品の特長
これまでジャケ買いした中には「これはもったいないなあ」という残念な商品もありました。
たとえば、パッケージは良いのに添付されているリーフレットやホームページのデザインに一貫性がないパターン。
これって結構多いのですよね。
パッケージには費用を掛けたけれど、リーフレットやWEBサイトにまで手を掛けられなかった…、または掛けないでいいと判断したのかもしれません。
ここは非常に惜しい点。一貫性がないとブランディングにはならないので、気を付けたい所です。
また、リピートにつなげるための導線や仕掛けがないという残念なパターンもあります。
ブランドの世界観を守るため意図的にしているのであれば問題ありませんが、それでもすごくもったいないです。
なぜなら、やり方一つでブランドの世界観を壊さずに導線を作ることができるから。
特に実店舗があれば、そこへつなげる導線を設計しておけばリアルな集客にもつながります。
せっかく獲得した顧客との接点が途絶えさせないマーケティングの仕組みも大切です。
3.ジャケ買いで終わる商品とリピートにつながる商品との違い
「ジャケ買い」で終わるのは、パッケージで感じた期待値を中身が下回ったとき。
簡単にいうと「期待外れ」ということです。
この場合、悪い意味で期待を裏切られているので、その商品に対するブランド・イメージもマイナスの感情で定着してしまいます。
パッケージで感じる期待値とは、中身の「価値」に対する期待値のこと。
エイドデザインでは、この期待値=ブランドの価値を大きく3つに分類しています。
一つ目は、これがなくてはその商品やサービスが成り立たないという【機能的価値】。
【機能的価値】とは機能や品質に関わる価値のことを指します。
たとえば、ノートパソコンでいうと基本性能や画面のサイズ、重さや厚みなどが挙げられます。
また、先のクラフトアイスでいうと、アイスとしての美味しさや素材、容量、その製法であったりします。
ブランド戦略というとクリエイティブに目が行きがちですが、まずこの【機能的価値】が十分に備わっていることが大前提です。
ただし、【機能的価値】は比較されやすい部分なので、ここだけを訴求していると競合から真似をされ、価格競争に巻き込まれる恐れがあります。
二つ目は、消費者・顧客が心で感じる【情緒的価値(感情的価値)】。
【情緒的価値】とは対象者の感情に働きかける価値のことを指します。
たとえば、ノートパソコンのMacBookでいうと、洗練されたデザインであったり、持っているだけで自己表現をできたり、Appleの世界観が好きというようなものがあります。
また、先のクラフトアイスでいうと、手作りの温かさであったり、生産者の顔が見えるところであったり、こだわった店舗の立地であったりします。
パッケージやリーフレット、ロゴなどのクリエイティブな要素から受け取る感情もこの【情緒的価値】にあたります。
そして三つ目は、消費者・顧客が応援したいと感じる【社会的価値】。
【社会的価値】とは、そのブランドが社会に求められる価値のことを指します。
たとえば、ノートパソコンでいうと、古いパソコンを回収して新しい部品として再生したり、環境に負荷の掛からない部品を使用したり、また多様性を認めた人材を採用することなどがあります。
先のクラフトアイスでいうと、生産者とのつながりによる一次産業の応援、手作りで環境負荷を低減させている点、廃棄ロスを最小にしていることなどが挙げられます。
ブランディングの専門家としてお伝えしておきたいのは、これからの時代、【機能的価値】と【情緒的価値】だけで選ばれ続けることは難しいということです。
理由は単純明快。
自社のことだけを考える商品(ブランド)と地球環境にまで考慮した持続可能性のある商品(ブランド)。
仮に両者の価格が同じであれば、あなたならどちらを選びますか?…という問いへの答えがすべてです。
特に富裕層ほど環境問題や持続可能性、SDGsなどに対しての意識が高いです。
そのような方々に選ばれるブランドを目指すのであれば、社会的に応援される価値を意識しなければいけないでしょう。
4.ジャケ買いからリピートにつなげるには…
まずは、パッケージデザインで買い手の期待値をコントロールすることです。
過剰なデザインで、そのブランドが提供する価値と異なる期待を持たせないことを意識してください。
とはいえ、期待がないとジャケ買いは生まれません。
ですので、ブランドが提供する価値をどのように設計するかがポイントとなります。
そのためには、ブランドの理念から派生したブランド・アイデンティティを考えることが大切です。
※ブランド・アイデンティティについてはこちらから。
自分たちのブランドが伝えたいこと、顧客に思ってもらいたいイメージを言語化したブランド・アイデンティティを体現するパッケージにすれば、購入者の期待値を下回ることはありません。
そのために必要なのは、パッケージデザインもさることながら、そのブランドの世界観(ブランドストーリー)をどれだけ伝えられるかです。
(伝え方はリーフレットやブランドのWEBサイトなど様々な方法があります)
ブランドストーリーを通じてブランドの価値観を伝えることで、共感が生まれ、それが続くことで次第にそのブランドへの愛着が増していきます。
ここに力を注げるかが、ジャケ買いからリピートにつなげる一番のポイントではないでしょうか。
今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
〜追伸1〜
合わせてこちらのブログもお読みいただけると、より理解を深めていただけます。
〜追伸2〜
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